クソ良書: ウンコに学べ!
第1章 あなたのウンコはどこへ行くのか
- 海に捨てられるウンコ
- カウボーイも英国紳士も海まで運ばず川に捨てた
- 下水処理の手品の真相
第2章 水田―土と水とウンコのバラード
- ペリーが驚いた世界一清潔な国
- 生きるとはウンコを食べることである
第3章 ウンコの黄金時代と糞まみれの経済
第4章 ウンコをしない自立とする連帯
- エコノミーからエコロジーへ
- 陰翳礼賛
- ウンコをひらない身体
- 学校でウンコができない子どもたち
第5章 ウンコに学ぶ環境倫理
- みんなのおかげでウンコができる
- ウンコとは死ぬことと見つけたり
- ウンコに親しむ環境教育
平易に科学し、手広く歴史する
なんという良書。奇をてらったタイトルに感じるが、本書の内容はその題材たるウンコと同様に「実用的」である。無意識に忌避される「声なき肥え」に光をあて斬新な切り口で平易に科学し、手広く歴史する。両著者はまさにトイレの神様、もとい新書の神様。
さらに嬉しいことに書き手にそこはかとない余裕があって、それが軽妙な筆致に表れていて「読ませる」文章になっている。さらにさらに特筆すべきはその充実した参考文献目録。こういったキワモノ書籍につけられた目録ほど多くを学びうるものはない。
いやあ、脱糞しててもドヤ顔で自信持って言えますよ。「新書ってこう書くべきでしょ?」
続編マダー?
あまりにも良書過ぎて「あとは読んでね」としか感想を書けないもどかしさ。それだけになぜこの新書ブームにあって両著者による続編がでないのか疑問だ。続編とは言っても別にウンコでなくていい。両著者による「平易に科学し、手広く歴史する」ものであれば、おもしろく読めると確信している。
Amazonアルゴリズムを信用するのであれば、両著者ともに本書以来研究書しかだしていないのだ。
ここまで触れずにきたけど、本書の出版は2001年。実に10年以上経っているのだ。2001年と言えばBB(Before 『バカの壁』)、そもそも新潮新書自体創刊されてすらいない。この新書百花繚乱時代、ホンモノの新書、求められていると思うなぁ。どうですか、ちくま新書さん! 「新御三家」の矜持、見せたってください!