ネット時代の爆速「批評空間」! 茂木健一郎、携帯ゲーム「貧困ビジネス」問題


茂木健一郎さんがいわゆるガラケーの無料携帯ゲームを批評した。
はじめにはっきりさせておこう。私は、茂木健一郎を支持する。

ガラパゴス携帯でしかネットにアクセスしない(できない)人たちに向けて、「無料」の言葉で釣ってゲームをさせ、高額な「アイテム」を売ってお金儲けをするというのは、「貧困ビジネス」以外の何ものでもない。

http://twitter.com/#!/kenichiromogi/status/12653564748894208



茂木健一郎は自問する「今はそのフェーズか」
もはや天然系としかいいようのないほどのクリティカルな指摘である。おそらく、こういった「批評」は私のような無名のものができることはあっても茂木さんのようないわゆる有名人が行うことは難しい。なぜならばこのような発言は有名人へさまざまな仕事が集中し、それでより有名になり、より仕事が集まるような一種の「マタイ効果」を自ら絶ち切ってしまうようなものだからである。しかし今回そのような「大人の都合」を茂木さんはまったく考慮していない。これは明確に意図的に行っている。確信犯だ。はたから見れば自らチャンスを絶ち切ってしまっている「天然系」にみえるがそうではない。もちろん茂木さん自身、完全に確信しているわけではないはずだ。だから茂木さんは自問しただろう。「おれは正しい」それは間違いない。しかし、「今はそのフェーズか」。



「成長株」を叩く勇気こそが愛であり批評
茂木健一郎が長期的に見れば「正しい」のはおそらく誰もが意識しているところだ。「ちょっとしたスキマ時間に、なにも考えずにできる」―この携帯ゲームの性質を苦々しく思い、しかし一方ではせっかく育ちつつあるWebサービスの芽を摘みたくはないと思ってきた「有識者」は多いはずだ。これはその黎明期から旧権力によって徹底的に弾圧されてきたWeb業界だけにその庇護意識は強かったに違いない。たしかに、携帯ゲームはWeb系でもっとも勢いのあるサービスであり、そのマスメディアを通した絨毯爆撃型の広告などを観察している誰もがその勢いを如実に感じていたに違いない。「現在、日本初のWebサービスで海外に展開しても競争力をもちえているのはこの携帯ゲーム業界以外にない」このような呼び声も高い。もはやITでビジネスモデルを構築しようとする者で携帯ゲーム業界を見習わない者はいない。いや、既存のIT業界も注目していないはずがない。そしてこの段に来てこの事件である。


公正取引委員会による立入り調査について - 株式会社ディー・エヌ・エー

モバゲータウンを運営するDeNAへの公正取引委員会の立ち入り捜査である。DeNAはグリーと並ぶ、まさに携帯ゲーム業界の二大「巨人」である。またこれは旧権力からの「お灸をすえる」弾圧なのか―諸知識人もそう思ったかもしれない。いや、正確にはそうは思っていないに違いない。仮にDeNAによる競争を妨害するような独占禁止法違反の嫌疑が本当だったとすれば、それは自由な市場競争のルールを破る「悪いこと」だ。しかしこんな計算がはたらく ―旧権力と一緒になって携帯ゲーム業界を叩くのは、今後伸びていくはずの貴重な業界の成長を阻害するようなことだ。差し控えよう(「マタイ効果」も期待できるかも)。
そう。日本で唯一元気のある、と言ってもよい"成長株"を叩くのはまずい、そう思っている。将来の貴重で、有望な成長株だ。そして、今回の事件と同様に、「ちょっとしたスキマ時間に、なにも考えずにできる」―この「貧困ビジネス体質」には目をつぶってきた。みな、忙しいふりをして「貧困ビジネス」を糾弾することはなかった。しかし、茂木健一郎は違ったのだ。お灸を据えた。ホンモノのお灸だ。お灸を据えられたものがより成長できるような。それこそが批評だ。批評を受けた主体がより、成長できるような真摯な批評だ。批評とは茂木さん自身がおっしゃるように「制作者への愛と矛盾しない」ものなのだ(批評(3))。
そして、茂木さん自身から「特定の会社、サービスを名指ししたものではない」との断りがあったが、今回の批評はDeNAの立ち入り調査と全くの無関係ではないはずだ。



ネット時代の爆速「批評空間」!
最初に私が仮定した茂木さんの「自問」に戻ろう。

「おれは正しい」それは間違いない。しかし、「今はそのフェーズか」。

僕が答えを用意している。「今はそのフェーズだ」それがネット時代の爆速「批評空間」である。時代はすぐに茂木さんにキャッチアップする。そして追いついた時代はすみやかに茂木さんに真の「マタイ効果」をもたらすだろう。それほど今回の茂木さんの勇気ある批評がもたらした効用は大きい。そして有識者はそのような時代を意識せねばならない。ところで有識者とは誰か? なんという愚問。ここはネット、有識者はあなたであり、僕だ。権力におもねるでもない、成長株を過保護にするでもない、時代を加速させるのだ。ホンモノの真摯な批評によって。



尖閣YouTube「寿ぐべき慶事」問題
思えば「尖閣YouTube」のときも茂木さんはそうだった。>流出(1)流出(9)
勇気があった。「天然系」といわれた。おそらく有識者は口では「天然系」と呼ばず、心のなかでは舌巻いていたに違いない。
茂木さんはNHKで確固たる地位を築いている。国家に擦り寄ろうと思えばいくらでもすりよれるのだ。「国家」に喧嘩を売るよりは、もっと安泰な生活を遅れたに違いない。しかし茂木さんはしなかった。茂木自身のお気に入りの言葉を借りるならばそれが「プリンシプル」だったということか。


爆速ネット時代を「メタ」で生きぬく@YMKjp