オープンソースが大したビジネスになっていない・・・だと・・・?
池田信夫さんのエントリーを読んで、びっくりしました*1。そんなにネットってマネタイズできていないイメージですか?
オープンソースとかコモンズとかいう理想は美しいが、それが生まれてから25年以上たっても大したビジネスにならないのは、ネット上で閉じているためだろう。
オープンソースソフトフェア(OSS)でもビジネス上でしっかり機能しているんです!
OSSは総称のため、広義にはGPLなど「完全なるフリー」を志向している商用利用できまないライセンスもありますが、OSSにも商用利用可能なライセンスはあります。そして、OSSはちゃんと「大したビジネス」していると思うのです。
開発コストだけで(ソフトフェア開発なのでほとんど人件費)3870億ドル、日本円にして33兆円。日本の一般会計歳出の最大を占める社会保障関係の27.2兆円よりも大きい*2。
これらの開発を1年間で開発しようとすれば210万人かかります。
ちなみに、ブラックダックソフトフェア社自体も、OSSのライセンス管理周りを扱っている会社です(製品)。
Linux開発コミュニテイへの企業参加
代表的なOSSであるLinuxでは75%が企業からの正規の事業として開発への参加となっています。
> 【PDF】Linux Kernel Development - 誰がLinuxを開発しているか('09)
※該当箇所は14ページ表9 ("カーネル開発を支援する企業"でコピペ検索)
OSSのビジネスモデル
オープンソース周りにはいろいろなビジネスモデルはあります。
- ディストリビューション・・・年間サブスクリプション契約(RedHat社、Novell社など)
- ソフトフェア販売・・・Linux上で動作する商用ソフトウェアを利用承諾契約する(Oraale社など)
- サポートサービス・・・Service Level Agreement(SLA)を基礎とするサポート契約
- ハードウェア・・・Linuxなどが動作するPC本体やサーバー、半導体を販売する
僕の友人とかはLinuxを「無料版Windows」程度にしか捉えていないんだけど、それは間違い。ディストリビューションといってたくさんのバージョンで配布されていて、中には有料版もある。「なんで無料もあるのにわざわざ有料で買うの?」という人もいるかもしれませんが、有料版には保証がついていたりしてビジネス用途に優れていたりするようです。そもそもプログラミングなど用途によっては普通にOSとしてWindowsより優れているので、そういうことが分かればわざわざ有料版を買う理由とかが分かってきますよね。そんなこんなでディストリビューションのRedHat社はLinuxで12.3%を占める企業としては最大の開発主体となっています。
おじさんや学生にはこうしたOSSの現状を知らない人も多いと思ったので書いてみました。思えば、Google検索も楽天市場もオープンソースソフトフェアを利用しているのです。日本のPanasonicなどでも組み込み型として使用されています。それを踏まえてもなおOSSのことを「大したビジネスではない」というイメージを持たれる方はいないはず。