ワークライフバランス本、5冊読んだ感想

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5冊のワークライフバランス(WLB)本で、改めて認識したこと含め感想は3つ。
あえて引用などはせずに、ざっくり感想いきたいと思います。

  1. WLBはフェミニズムではない
  2. 女性よ、働け。いや、働いてください。
  3. 子供は社会の資本


1. フェミニズムではない
ウーマンリブ*1に批判的な話はあった。ハーバードのロースクール出身の夫妻の話だ。それでも夫は妻のほうが稼いでいて自分のほうが家庭のことをしている現状に対して、夫は保守的な自分を隠さず、「ウーマンリブはよくない。女性が自律的になりすぎている」というようなことをいう。ではなにが彼らを『稼ぐ妻・育てる夫』に導くのか。それは「経済だ」と。

  • 優秀な人材の確保
  • 「一匹オオカミ」を生み出さない
  • 知的生産性の向上

そうWLBは徳ではなく得、会社では株主などの利益に違わぬ正真正銘の市場原理から導いても必要な「仕組み」なのだ。なぜか。まず最もしっくりくる理由は「優秀な人材の確保」だ。Googleが露骨な例だ。無料で食べ放題の食堂…etc(Googleのオフィス潜入の記事Googleは優れたプログラマなどを囲う。他社にいって優れた製品をつくられるよりはマシだからだ。次の「一匹オオカミ」を防ぐことも市場原理にのっとっている。担当をサブを含めた2人制にすることなどは一種のリスクマネジメントなのだ。担当が万が一倒れても回る組織は強いのだ。アウトドア用品Patagonia*2をリスペクトした「ミニドミノ人事」も、後進の育成である。そして「知的生産性の向上」だ。これは時代の流れからも求められている(インプットの時間を増やすなど)最大の目的であるはずだが、目先の利益でないだけあって、最も理解しづらい部分かもしれない。長期的な視野がある企業だけがこの視点を持てるだろう。



2. 女性よ、働け。いや、働いてください。
5000万円〜2億円違うらしいですよ、「男性+パート女性」と「男女共働き」。日本人女性働いてください。団塊の世代の大量退職によって、現役世代激減なんです。なんか「1人の高齢者の年金を2人の現役世代で支える」みたいなモデルはみたことあるかとは思います。日本はマジでそういうヤバイ状況です。何が問題かって、『デフレの正体』によれば「現役世代の消費が少ないこと」ですが、とりあえず現役の若い世代は収入のハイブリッド化(またの名を"二馬力")でもするしかありません。そしてそれをサポートしちゃるのがWLB。優秀な女性はWLBとか考慮してくれる企業で成果をだして、圧力をかけましょう。外国人労働者に頼る話をする前に、女性の45%しか有償労働*3をしていないんですから! 専業主婦志向が高まっているそうですが、そんな場合じゃないです!



3. 子供は社会の資本
マジでGlobalを相手にする時代です。アメリカが夜にインドに頼んだシステム設計が、次の日の朝には出来上がっている時代です(時差)。どう考えても知的生産性バンバンしていくしかないんですが、そこで教育です。子供を金銭面でも社会で(つまり税金で)育てていく必要があるでしょう。
それで国際競争でやっていくことはいいでしょう。しかしいくら貿易で黒字を出し続けても一向に景気が良くないと"感じる"のは、国内でお金がまわっていなかったから("戦後最長の好景気"で気付いたでしょう)。これは若年層への所得移転、裕福な高齢者の寄付文化(とその税制)、そしてもちろんこれらをお上思考で愚痴ってばかりではなく、アントプレナーシップ丸出しで民間パワーでやっていく人たちの努力にかかっているでしょう。とにかく、将来の担い手と、安心出来る社会をつくっていってくれる後進の育成は都市をとれば(たとえ年金の制度が変わっても)自分に子供がなくとも支えられる立場になるわけですから、せめて子供は税金で教育しましょうよ。子育ての現場では「1人目出産のあと夫婦関係満足度が下がる」らしいですよ。税金で子供を支援するのに時間はかかっても、WLBに積極的になることは今すぐできることですから。



今回読んだWLB本(Amazon)

  1. ワークライフバランス入門―日本を元気にする処方箋
  2. ワークライフバランス推進事例集―ゆとりとやりがいを生み出す14社の取り組み (New‐Jinji‐Series)
  3. 稼ぐ妻・育てる夫―夫婦の戦略的役割交換
  4. なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか? 6時に帰る チーム術
  5. 改訂版 ワークライフバランス -考え方と導入法-

おまけ: 気になるデータ(2009年とか)

  • OECD加盟諸国で日本は労働生産性20位/30カ国
  • 過労死するひとの95%は男性


Written by 長時間労働からのパラダイムシフトを!@YMKjp




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↑オススメ働き方本

*1:1960年代後半にアメリカで起こり、その後世界的に広がった女性解放運動。フェミニズム及びジェンダーの原点。

*2:パタゴニアのリュックサックは僕の一番お気に入りのヘビロテアイテムだ!

*3:有償労働: 一週間に一時間以上お金をもらって働いていること